ADHD(注意欠如・多動症)の治療に用いられる「アトモキセチン製剤」(先発品名:ストラテラⓇ)について、近頃、当事者や医療関係者の間で「流通が枯渇するのではないか」との不安が広がっていました。
こうした状況を受け、発達障害当事者協会が厚生労働省に対し、緊急陳情を実施しました。当会代表理事の山瀬も、同協会の運営委員・事務局として陳情の草案作成に協力し、陳情の場にも同席いたしました。

厚労省からの回答
陳情の結果、厚労省より以下のような見解が示されました。
「現時点において限定出荷は続いているが、各ジェネリックメーカーの生産状況を積み上げると、ニトロソアミン類の問題が生じる以前(令和6年8月時点)よりも出荷量は増加しており、総供給量の観点では大きな問題はないと認識している」
つまり、供給量全体としては安定しており、長期的な治療の継続に支障が出るような事態は想定されていないとのことです。
現場の声と今後の対応
一方で、実際に患者から「複数の薬局を回らないと入手できなかった」といった声もあり、在庫の偏りが生じている可能性も指摘させていただきました。
これに対して厚労省は、流通面にも関心を払っていく意向を示しました。
さらに、今回の陳情を踏まえ、以下のような対応が予定されています。
- 医療関係者向けに供給状況に関する情報提供を実施
- 在庫確保のための過剰な購入を控える呼びかけや薬局間での融通を促すアナウンスの実施
当事者の不安について
ここからは、個人的な所感となりますが——
たとえ総供給量が足りていたとしても、流通上の偏りによって一部の薬局で品薄となっている現場があるのは事実です。加えて、先発品である「ストラテラⓇ」が在庫切れとなり、再生産の見通しが立っていないことが、当事者の不安を大きくした要因ではないかと感じています。
ジェネリック製品の供給が安定していても、「ストラテラⓇが流通しなくなる」という事実が、「アトモキセチン製剤全体が不足している」との誤解を生んだ可能性があります。また、薬のメーカー変更や錠剤のmg数の変更(例:40mg×2錠 → 10mg×8錠)なども、先発品の供給停止と相まって不安を助長したのではないでしょうか。
最後に
今後、厚労省から正式な供給状況に関するアナウンスが出されることで、現場の混乱や不安は徐々に解消されていくものと期待しています。
何より、現時点では「アトモキセチン製剤の総供給量は足りている」との見解が示されており、長期的な治療の継続に支障が出る可能性は低いと考えられます。
少しでも安心材料となれば幸いです。

